出勤前の忙しい時間帯だった。
何気なくふとテレビを見て「あれっ！」と思った。
画面の中に昔の記憶を呼び覚ます名前があったからだ。
川添象太郎。
そのニュースのことはそのまま忘れていた。
何かの拍子に、ふと思い出してＰＣで検索してみた。

覚せい剤取締法違反の疑いで逮捕という文字が躍っていた。
読むうちに・・・
彼が大物の音楽プロデュサーであることを初めて知った。
松任谷由美やＹＭＯなどのビッグアーティストを世に送り出し
数多くのヒット曲を生み出した・・・ばかりか
その足跡は音楽に限らず多方面に及ぶということだ。

著名なピアニスト原智恵子が母親であることは知っていたが
明治の元勲、後藤象二郎が曽祖父であることは知らなかった。
何回かの結婚・離婚を繰り返し、浮名を流したことも初めて知った。
風吹ジュン、荻野目慶子などの美人たちがその相手であるという。
覚せい剤違反での逮捕も何回かに及ぶらしい。

高校時代の同級生である。
彼は東京から転校してきて、卒業を前に東京に帰っていった。
学寮で一緒に暮らし一緒に学んだのは2年に足りないかもしれない。
東京の臭いを纏った彼が、田舎者の私にはまぶしい存在だった。
格別親しくつきあった訳ではない。
それなのに私の記憶の中には強い印象が残っている。

以来忘れていた彼のことをテレビのニュースが教えてくれた。
田舎者の想像を絶する世界に住んでいる川添くんである。
それにしても70歳を過ぎてどうして覚せい剤を・・・と思う。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（2013.07.12）