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てげてげブログ
2014-03-26

566) 歴史

  いま浅田次郎の小説を読んでいる。今朝の電車の中でのこと。小説の本筋とはあまり関係ないのかもしれないが、浅田が一人の登場人物に語らせている短い言葉が気になった。

  『歴史は常に勝者がつくる。勝者の論理が歴史になってしまうのだ。むろんそれが真実であるとは限らん。その伝でいうなら、幕末のごたごたと戊辰戦争というものはな、勝った薩長藩閥の理屈で塗り固められている。』

  薩長藩閥は置いておくとして、最近よく問題になる日本と中国・韓国との間の歴史認識もこれじゃないかと思った。戦後、まともにモノの言えない日本を押さえ込んで、せっかくつくった歴史、勝者の論理にたって勝者に都合よくつくった歴史を、今になって日本が書き換えようとしている・・・靖国神社参拝や慰安婦問題などで神経質に反応する中国や韓国の感覚はそんなものじゃないかと思った。アメリカだって基本的認識は同じじゃないのか・・・そうも思った。

  広島・長崎への原爆投下や東京・大阪など大都市への空襲は、非戦闘員を対象とする大量虐殺だと思っている。戦争の勝敗が逆であれば、まさに戦犯ものだったはずだ。日本人のほとんどはそう思っているのではないか。しかしそのことを声を大にして言う人は少ない。言えない空気がある。それも勝者がつくった歴史に対する挑戦にあたるという日本社会全体の自制がきいているからだろう・・・とも思う。

  『歴史は常に勝者がつくる。』・・・だとすれば敗者の側にたった歴史書があるなら、それは教科書で習った歴史とは相当変わったものになるのかもしれない。(2014.03.26)

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