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てげてげブログ
2015-08-03

776)  わっしょい百万夏祭り

家内はすこぶるつきの祭り好きである。提灯山笠で有名な戸畑の町の中で育ったせいかもしれない。


北九州には歴史はそれほど古くはないが、毎年100万人以上の人出で賑わう「わっしょい百万夏祭り」というお祭りがある。2日間にわたる祭りである。土曜日の初日は「祭り大集合」だ。地元各地で開催されるお祭りが一堂に会する。日曜日の2日目は「百万総踊り」となうって各地、各団体の踊り手が街中を練り歩く。

家内が見たいのは祭り大集合の方だ。ここ数年その開催日と私の日程がかぶって行けない年が続いていた。今年は幸いにも私の土曜日が空いていた。勇んで出かけることになったのは言うまでもない。

会場には早めに行ったものの、観覧席の指定券は既に売り切れていた。仕方なく強い太陽に熱せられた熱い歩道に座り込んで観ることにした。


久し振りの百万祭りはさっぱり面白くなかった。昔はもっと熱気があったような気がするのだが、長年のうちにマンネリ化し、熱も冷めてきたのだろうか。

戸畑の提灯山笠、黒崎の祇園山笠、小倉の祇園太鼓、文字の電照山笠、若松の五平太囃子、八幡東のねぶた振興会等、各地から集まってきた山や神輿は、地元での本番が済んでしまって、担ぐ人、引く人も熱が入らぬような様子がうかがえた。しかも参加したのは、各地とも2山くらいずつ。まあ、順番制でしぶしぶ参加したのだろうと感じさせるような雰囲気だった。

しかも悪かったのが待機時間が長くて多かったことだ。山が動いている時間よりも停まっているいる時間の方がずっと長かった。主催者側の企画のまずさがもろに出ていたと思う。各山はあちこちにじっと座って本部からの指示を待っている。待つうちに祭りの勢いも熱気も冷めてしまう。ちっとも盛り上がらない、そんな2時間ほどを過ごしたのである。


祭りはつまらなかった。家内もひどくがっかりしていた。これから先、もう行こうとは言わないだろう。

しかし、祭り開始までの時間調整のために行った「放浪の画家、山下清展」(井筒屋新館で開催中)はとても良かった。緻密な貼り絵(ちぎり絵)の美しさに感動した。貼り絵の他に数は多くなかったが、ペン画(マジックペン)、油彩画、水彩画、陶器も展示されていて、それぞれに味があった。

彼は数か月間も数年間も放浪し、その間に見た風景を家に帰ってから思い出して書いていた、らしい。しかもその画面は実際の風景に酷似していたという。見た風景が写真のように焼き付けられるといった特別な頭の構造を持っていたのだろう。そして頭の中の画面を間違えることなくそのまま画面に写し出す技術をも持っていたのだろう。

彼の残した文章もまた味があった。日本語的にはおかしくても、言わんとするところは率直でユーモアがあって、本質をついていると思った。(2015.08.03)

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