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てげてげブログ
2009-01-06

26)年越し派遣村 2009.1.6

 「派遣切り」に続いてまた一つ「年越し派遣村」という新語が誕生した。この年末年始、テレビでも新聞でも大きく報道された。多くのボランティアが参加し、さらに行政を巻き込み、大きな社会問題化した。
 担当大臣が、製造業にまで派遣を解禁したことに疑問を呈し、見直しの検討に言及したという記事を読んだ。見直しとは製造派遣を禁止するということなのか、その場合に製造請負はどうするのか、現に働いている人達の雇用はどうするのか、日本の製造業はそれでやっていけるのか、難しい問題は色々あると思うが、ここまで社会問題化したからには、党利党略抜きで将来に向けての真剣な検討がなされて欲しいと思う。
 あの改革の時代、規制緩和の流れに乗って、人材派遣業に関しても多くの規制撤廃がなされた。製造派遣もその一つであった。色々と問題を抱えながらもここまできたが、この突然の不況突入によって、その矛盾が一気に噴出したと言えるかもしれない。

 製造派遣には当初からなんとなく不安をいだかせる要素はあった。
 まず一箇所で必要とする人数が半端ではなく多いこと。このため工場のある地域では充足できずに、雇用に余力のある地方から労働者を集めてきて、寮に入居させて派遣する。これが今回、職を失うと同時に住居まで失うという結果になって表れた。
 また製造部門では繁忙期と閑散期の落差が大きいこと。生産量が倍半分になることだってある。人が余る、まずは非正規従業員に皺寄せがくる。自社の従業員でないという心安さが加わって、生産量に必要なだけの労働力と言うドライな判断を産む。
 さらに代替の利く単純作業が多いこと。専門的な職務や技術の蓄積が必要な職務なら、苦しい時にも温存して次の繁忙期に備えるが、単純作業ならその必要が無い。そして大量の派遣切り。

 企業側はこのまま知らぬ顔でいいのだろうか。これまで好況の恩恵に浴し、内部留保を積み上げてきた背景にはこの人達の労働力があったからではなかったのだろうか。必要な時に必要なだけ、しかもローコストで使えるという便利な労働力に各企業はどれだけ助けられてきたのだろうか。今回、如何なる対策よりもまっ先に打ち出された派遣切りの判断に、この人達の貢献度がどれだけ考慮されていたのだろうか。グローバル競争というのはそれほどにも冷酷さを要求されるものなのだろうか。
 少子高齢化の時代。必ず訪れる深刻な労働力不足の時代。もっと働く人を大切にする、そんな温かい時代の訪れを願いたい。

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