1. 薬剤師の求人・転職TOP
  2. てげてげブログ
てげてげブログ
2009-02-05

35)シロとトラ(その2) 2009.2.5

(前日のブログから引き続きお読みいただくと感謝です。) 
 我が家にはトラの母親、推定年齢10歳のシロも同居しています。8年余り前、私たちの前に突然姿を現し、毎朝雨戸の開くのを待ち構えて餌をねだり、ついには同居し始め、そして程なく厚かましくも出産したのです。居間に置いたダンボール箱の中で、家内にお腹をさすってもらいながらの出産でした。4匹の元気な子供が生まれました。
 シロにとっては最初(?)で最後の出産でしたが、その時の息子がトラです。兄弟の中で一番のやんちゃ坊主でした。一匹だけ残してもらった息子を育てるシロの姿は感動的ですらありました。
 こちらが気付かないうちに、小さい息子の首筋をくわえて、箪笥の上や押入れの奥や、あちこちに隠していたのは、あれは何だったのでしょうか(?)3匹の子供を奪った家人をにっくき敵と見做していたのでしょうか(?)

 そのうちに、シロはトラに狩の訓練を始めました。教室はたいがい座敷でした。色んな動物を捕らえてきては、座敷の中でトラに追いかけさせて狩の要領を教えるのです。初めはとかげのように比較的動きの遅いものから、ばったのように跳ぶものへ、そして次第に蝶や鳥のように飛ぶものまで。
 室内での訓練を卒業したら、次は戸外での実戦訓練です。獲物への近づき方、腰の構え方や振り方、跳びかかるタイミング等、自らやってみせながら。
 自らが持てるノウハウのすべてを伝授し終わり、トラが狩の名人に成長してからは、シロ自身は狩にすっかり関心を失ったようです。あるいはわが子を鍛えるために、もともと好きでもなかった狩を子育てのあの時期だけやってみせていたのでしょうか。

 野生のための本能的な訓練には力を注いだシロも、飼い猫としての行儀作法とか人間との付き合い方という次元の教育には全く関心がなかったようです。
 ほんの一例。シロはとても行儀のよい猫で、家人の食卓には決して近寄りません。ところがトラは、毎晩食卓に上がってきては、晩酌につきあいながら物欲しそうにお裾分けをねだるのです。
 しかしシロは言うかもしれません。「違うんじゃないでしょうか。そういうことは猫ではなくて、飼い主が躾けなければならない作法なんじゃないでしょうかね~」と。

 女手一つで立派に子供を育て上げた、そんなシロにとって、最近の人間社会(もしかしたら日本だけ?)で騒がれている育児ノイローゼやら我が子の虐待やらという現象は、宇宙の遥か彼方、全く理解を超えた世界の出来事として映るのかもしれません。
(蛇足ながら-----トラは歳を重ねるにつれて、あれほど得意にしていた狩を、いつのころからかすっかり忘れてしまいました。)

>> ブログ記事一覧へ