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てげてげブログ
2011-01-20

252)整理解雇

  会社更生手続き中の日本航空が「不当解雇」を理由として提訴された。

  日航は経営難から、昨年末パイロットや客室乗務員165人を整理解雇した。そこに至るまでの経過を私なりにまとめてみると・・・
   経営困難に陥った同社は、会社更生手続きを申請、不採算路線からの撤退等、事業規模を大幅に縮小することにより経営建て直しを図ることになった。
   事業規模の縮小により余剰となる人員16000人(従業員の3分の1にあたる)を削減することを計画した。
   このため昨年3月から数次にわたって、有利な退職条件を付けて特別早期退職者や希望退職者を募り、自主的な退職を促したが削減予定の人員に達しなかった。
   特にパイロットと客室乗務員が削減目標に不足し、余剰になるとして、昨年12月31日付で165人を整理解雇(強制的に雇用契約を解消)した。
   これを不満として、165人のうちの146人が原告になり、不当に解雇されたとして日航を相手どって裁判をおこした。

  整理解雇というのは、使用者が経営不振などの経営上の理由により、人員削減の手段として行う解雇のことをいう。労働者個人の事由を理由とした解雇ではないことから、一般の解雇に比べて、より具体的で厳しい制約が課されている。それが一般的に「整理解雇の4要件」といわれるものであり、以下の4つである。
   人員削減の必要性(人員削減をする経営上の必要性があったのか)
   解雇回避努力(整理解雇を行う前に、残業の削減・一時休業・希望退職募集等、解雇を回避する努力をしたか)
   人選の合理性(合理的な人選基準を定め、それを公正に適用して被解雇者を決めたか)
   手続きの妥当性(労働組合や労働者に対して説明し、誠意をもって協議したか)

  現役時代は人事部門の仕事に携わり、今は労働審判員をつとめている身として、この裁判の成り行きには、個人的に大きな関心をもっている。私自身は新聞紙面で目にする情報しか知らない。しかし国民注視の中で進められて来た手続きである。法に外れたおかしなことが出来るはずもないと思う。私は今回の事案における「整理解雇の4要件」は完全にとは言えないにしても、かなりの部分が充たされているのではないか、と思っている。
  これで裁判所が解雇無効という判断を下したら、日本では事業不振に基づく整理解雇は永久に不可能だ、ということになってしまうのではないか。
  それは結局日本企業の競争力を奪うことになるであろうし、また企業が正社員の雇用を躊躇して非正規雇用に頼るという現在の傾向をますます助長することになるのではないかと思う。(2011.01.20)

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