2011-07-20
310) 大関魁皇の引退
大相撲で魁皇が勝ったら、直方の遠賀川河川敷では即座に花火が打ち上げられた。九州場所での魁皇への声援はすさまじかった。いや、九州場所に限らず魁皇の人気はすごかった。いつも悠然と、見るからにお相撲さんらしいお相撲さんだった。
JRの福北ゆたか線には「かいおう」と名付けられた急行電車が走っている。魁皇が引退してもまだ「かいおう」は走り続けるのだろう。いつまで「かいおう」の名前は残るのだろうか。
今後破られることはないだろうとまで言われた千代の富士の大記録に並び、さらに白星ふたつを積み上げて、通算最多勝記録を1047勝まで伸ばしたのはつい数日前のことだった。最後に素晴らしい記念碑を築き、大関の地位を守ったままで引退、見事な引き際だった。大関を陥落しても平幕でみじめな相撲をとり続けるお相撲さんが多い中、その引き際が際立った。
最近は8勝7敗の場所が多かった。角番の場所も多かった。しかしその都度、陥落の危機を乗り越え、大関の地位を守ってきた。そして今場所・・・昨日の取り組みが最後となった。中盤までに7敗を喫し、負け越しの可能性が強まる中、結果が出る前に引退を決断した。ファンとしては唐突の感を免れない。もっとやれたのじゃないか、せめて11月の九州場所まではと、惜しい気がしないでもない。しかし惜しまれてこそ美が残る。
ペテン師と非難され、みんなに嫌われ、周囲から辞めろ辞めろと大合唱され、それでも椅子にしがみ付いている何処かの国の総理大臣にも見習ってほしいものである。(2011.07.20)