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てげてげブログ
2010-04-01

153)ふふふ(その2) 2010.4.1

  「ほほほ」は、なかなか奥行きのある笑いです。たおやかで美しい女性が笑うなら「頬頬頬」のイメージ。酸いも甘いも知り尽くしたおとなの女性が似つかわしい。男だとオカマっぽくなってしまう笑いですが、唯一の例外として七福神の大黒様なら「穂穂穂」と笑いそうです。わたしら百姓には、五穀豊穣豊年満作、稲穂が波打つようなこちらの笑いのほうがありがたく思えます。

  ではカンジンの「ふふふ」はどんな笑いなのでしょうか?
  どう考えても一筋縄ではいかない、複雑で分析しづらい笑いです。いろいろなシーンが浮かびます。たとえば、敵に囲まれたときに天才剣士がもらすニヒルで不適な笑い。あるいは、酒で大失敗をやらかした男が二日酔いの頭をかかえながら吐き出す自嘲的な笑い。さらには、宝くじで1億円を中てた主婦が思わずうれしさをかみしめる笑い--------。さまざまに解釈ができそうです。
  漢字でも簡単にイメージできません。「不不不」や「負負負」と否定的なイメージにも表せれば、「富富富」や「普普普」など肯定的なイメージにも表せます。さらに「風風風」などと書けば、どこへ飛んでいくかわからないようなイメージにもなりそうです。
  つまり、おもしろいなかにもまじめなことが含まれ、ユーモアの中にも怒りが含まれているような、そんな笑いです。ひとつに焦点を絞ることができないような、多面的で複雑な意味を持つ笑いが「ふふふ」のように思えます。
  実際この本を読まれればおわかりのとおり、このエッセイ集『ふふふ』には、ユーモアや可笑し味や雑学と同時に、多くの批判や抗議の要素が含まれています。     (以下省略)

               ★     ★     ★

  辻村博夫さん、勝手に転載してごめんなさい。クロウトである文芸評論家や文学研究者の解説と比べても、はるかに読みやすくそして楽しい解説なのに感激しました。ありがとうございました。

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