2014-08-06
643) 自殺
理化学研究所の笹井副センター長の自殺が世の中に大きなショックを与えている。勿論、会ったこともない人だが、テレビを通してあるいは新聞紙面で何回も見た顔であり、つい笹井さんと呼びかけてみたくなるような人懐こい笑顔の持ち主だった。
30代の若さで京都大学の教授になった秀才であり、大きな研究成果をあげ、世界的にも名の通った科学者であったらしい。論文作成に関しては名人だったとか、研究予算を集めてくるのが上手だったとか、笹井さんがいなければ今の研究センターは生まれていなかっただろうとか、ともかく優秀な人物であったらしい。
察するに、若い頃から大きな失敗も経験せず、順風満帆で今まで生きてきた人だったのだろうと思う。そしてその論文作成能力をかわれて、今回、小保方さんの論文作成の指導を引き受けることになった。そこに大きな落とし穴が待っていた。論文不正の片棒を担ぐ結果になってしまった。これまで築いてきた輝かしい経歴に泥を塗ってしまった。笹井さんにとってはこれが人生初めての挫折だったのではないか。
責任感の強い人だったのだろう。自分で自分を追い詰め、疲労困憊、自ら命を絶つことになってしまった。科学界の大損失と惜しむ人が多い。ご冥福をお祈りしたい。(2014.08.06)