『返還過払い金、弁護士らの着服横行か』というニュースが目に付いた。やっぱり起こったかと、あまり驚きはしなかった。

借金をした人が払い過ぎた利息を、貸金業者から取り戻す制度が「過払い金返還請求」と呼ばれている。通常は弁護士や司法書士に依頼して請求する。

返還請求を受けて、貸金業者が過払い金を返還したのに、弁護士や司法書士が依頼者にその返還金を渡さずに、着服しているケースが多数あった・・・というのが今回の事件である。中には、依頼をうけていない人の過払い金を勝手に請求して着服したケースもあったと報じられている。

大手消費者金融会社の調査でその実態が分かったというのがまた滑稽だ。

そもそも「過払い金返還請求」という制度自体が胡散臭いと思っている。

利用者がまず胡散臭い。違法な高い金利であることは、借りる時から承知していた。その借入金で急場をしのぎ、助かった。その後苦労しながらでも、元利ともに完済した。感謝してもいいはずではないのか。それを今さら・・・と私は思う。

こんな事件を専門に扱う弁護士や司法書士も胡散臭い。電車内広告やテレビで大々的に広告して、依頼者を集める手法からして異様だ。頼む時の依頼料金は要らず、取り戻した過払い金の中から成功報酬を払う仕組みのようだ。何割の謝礼か知らないが、依頼者はダメモトで気楽に頼むことになる。

言うまでもなく、貸金業者も胡散臭い。過払い金とは法律違反の利息のはずだ。弁護士や司法書士を通じて請求した者だけに返還して、黙っている多数者には知らんぷり・・・で済ませていいのだろうか。

この制度は、人間の公徳心を蝕むような気がするのである。（2014.08.20）