2014-09-11
660) 司法試験
昨日の読売新聞トップには「司法試験合格 大幅減 1810人」という大きな見出しが躍っていた。8年ぶりに合格者が2000人を割ったらしい。
昔々、私が大学生の頃、司法試験は「現代の科挙」とも言われ、超難関の試験として知られていた。大学卒業後、何年も何年も司法試験浪人をして、漸く合格する人たちが多かった。毎年、何人ぐらい合格していたのか詳しくは知らない。多分数百人、500人前後ではなかったかと思う。
10年ほど前、司法制度の改革が叫ばれ、その中で司法試験の姿も変わった。合格者を3000人に増やすという大目標が掲げられ、その3000人をあてにして雨後の筍のように法科大学院が誕生した。毎年3000人とはべらぼうな数字である。
当時、そんなに法曹人口を増やしてどうするのだろうか、弁護士の仕事がそんなに増えるのだろうか、政府はアメリカみたいな訴訟社会を築こうとしているのだろうか、と大きな疑問を抱いたことを思い出す。
その後、合格者数は2000人余まで増えたが、それを受け入れるだけの受け皿もなく、折角試験に受かったのに仕事がない、就職難で浪人するという事例が増えている。当然のことながら、合格者の質も落ちているらしい。
さらには競い合うようにして設立された法科大学院も、「司法試験合格者が出ない ⇒ 入学者が集まらない」という悪循環で、廃校に追い込まれるところが少なくない。
改革には大なり小なり必ずマイナス面がある。利があれば害がある。良いことがあれば、反面で悪いことがおこる。右に振れ過ぎたら、左への反動が生まれる。
「司法試験合格 大幅減 1810人」というのは、テゲテゲな終着点に到達するための一歩なのかもしれない。(2014.09.11)