687) 日朝協議
今回の平壌での日朝協議は無駄足に終わったようだ。北朝鮮は特別委員会を立ち上げて、日本人拉致被害者の全面調査を実施することを約束し、日本側は経済制裁を緩和した。5月のことだった。そして9月にはその調査結果が示されるものと期待されていた。日本が何の根拠もなく勝手にそんな期待をするはずもない。北からそれなりの約束があったのだろうと考えるのが常識だ。
ところが9月も過ぎて北は、調査結果を聞きたいなら、平壌に来て調査委員会のメンバーから直接聞いてくれと申し入れてきた。約束違反だ。日本国内には反対意見もあった中、それらを押し切って平壌まで聞きにいったが、めぼしい成果は得られなかった。誘いに乗って平壌までのこのこ出かけて行って、コケにされた訳だ。
安倍総理は「北朝鮮側から、過去の調査結果にこだわらず、新しい角度からくまなく調査を深めていくという方針」が示されたという成果を挙げているが、それは当初から当然の前提ではなかったのかと思う。
日本は北に何回も騙され続けている。今回の拉致調査も北の掌の上で、ころころ騙されて、美味しいところをつまみ食いされて、うやむやのうちに終わるような気がする。
そもそも調査というのがおかしい。調査などしなくても、拉致被害者はすべて北朝鮮政府の厳重な管理下に置かれているのではないかと思う。
日本から経済援助を引き出したい。しかし拉致被害問題の進展なしにそれは望めない。一方でこれまでつき通してきた嘘がある。その嘘との整合をどう図るか、また反対論もある国内関係機関との調整も難しい・・・外交にはずぶの素人が想像した北の立場である。
いつ銃殺されるか分からないあの厳しい国をここまでしぶとく生き抜いてきた北朝鮮人と、育ちの良い日本人が対等に交渉するなんてそもそも無理じゃないのか、とも思っている。(2014.10.31)
画像:今日の定食Ⅲ(豚の生姜焼き、小烏賊の煮つけ、このはだと野菜の酢の物、漬物、味噌汁、ごはん)