通勤時、小倉駅前、毎朝夕、必ず見る風景がある。

組立式の書架に小冊子やパンフレットが並べてある。

欲しい人には無料でやるという趣旨のことが書いてある。

キリストの教えに関する冊子類のようだ。

傍には身なりの良い人が姿勢を正して立っている。

冊子を差し出すでもなく黙ってじっと立っている。

男の人のこともあれば女の人のこともある。

1ヶ所だけのこともあれば2ヶ所に立っていることもある。

冊子を受け取る人をいまだに見たことがない。

みんな書架の横を無関心に通り過ぎてゆく。

冊子の横に立つ人は通行人に声をかけるでもない。

次々に過ぎてゆくそんな男女を黙って見送っている。

なんだか怖い気がして私は彼らの傍を通らない。

毎朝夕、遠くから横目で見ながら通り過ぎている。

　　　　　　　　　（2015.07.06）