2015-08-18
785) 人事抗争
暇潰しに書店で平積みの単行本の中から目に付いたのを1冊選んだ。
書名は「ドキュメント パナソニック人事抗争史」という。
著者は岩瀬達哉というジャーナリスト、出版社は講談社だ。
松下電器歴代経営者の人間模様が実名で次々に出てくる。
まことに面白かった。名誉棄損にならないのかと、余計な心配もした。
松下電器の初代社長は言わずと知れた経営の神様、松下幸之助だ。
2代目が娘婿の松下正治、彼がこの本の影の主役だ。
幸之助は正治の経営者としての能力を見限っていた。
彼は会長の正治を第一線から退かせるように3代目社長に言い残した。
幸之助自身は妻への遠慮から自らの手ではそれを出来なかった。
3代目社長は22人抜きで有名になった山下俊彦だ。
彼は自らはそれを実行せず、4代目社長の谷井昭雄に申し送った。
谷井社長は正直にそれを実行に移した。
直接正治に会って、会長から相談役に下がってくれと申し出た。
正治は納得せず、ここから正治の谷井憎しが始まる。
正治の逆襲が始まり、谷井はそのいじめに耐えられなくなって突然退任する。
これで正治の社内での影響力が一段と強まることになる。
5代目社長森下洋一は保身のために、終始正治の顔色を窺いながら経営をした。
その過程で谷井時代に慎重に準備された有力な新規事業計画も潰してしまった。
6代目中村邦夫、7代目大坪文雄は前任者には従順、下には権力を振り回した。
結果、上に対してモノが言えない風通しの悪い企業体質が形成されていった。
かくしてパナソニック(松下電器)は没落の道を歩むことになった。
まあざっとこんな話だった。人事というのは面白くそして怖ろしい。(2015.08.18)