2015-10-20
818) 詩人吉野弘「祝婚歌」
普段は詩を読まない。
想像力に乏しい私には詩は難解だ。
なのに、本屋で一冊の詩集に目をひかれた。
「吉野弘詩集」という文庫本である。
ついつい購入してしまった。
それまで吉野弘という名前も知らなかったのに。
全くの偶然、全くの思いつきとしか言いようがない。
ぱらぱらとめくってみた。
一つの詩が目に留まり「いいな」と思った。
「祝婚歌」という詩である。
★ ★ ★
祝 婚 歌
二人で睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい
立派すぎることは
長持ちしないことだと気付いているほうがいい
完璧をめざさないほうがいい
完璧なんて不自然なことだと
うそぶいているほうがいい
二人のうちどちらかが
ふざけているほうがいい
ずっこけているほうがいい
互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで
疑わしくなるほうがいい
正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気付いているほうがいい
(以下14行省略)
★ ★ ★
新婚さんに向けたテゲテゲ主義の勧めだと私は理解した。
2週間後に結婚式をあげる姪にも読ませたい詩である。
特に「正しいことを言うときは」以下、最後のの5行がいい。
正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気付いているほうがいい
これは組織の中においても言えることだ。
特に上に立つものが気を付けたい心構えだと思う。
(2015.10.20)
画像:皿倉山のパラグラーダー