2016-03-30
893) 鼻輪
今朝の電車、向い合せ4人がけの椅子に座った。
読んでいた文庫本から何気なく目を上げた。
飛び込んできた景色にドッキリした。
目の前に座っていたのは20歳前後の女性だった。
すらりと背の高い、長い髪の、顔立ちの整った・・・
ドッキリしたのはその鼻である。
牛の鼻輪のような・・・
鼻の真ん中から鼻輪がぶらさがっていたのである。
金属製の銀色の鼻輪が朝日を反射してキラキラと輝いていた。
輪の中央には「球」が組み込まれて同じように輝いていた。
耳のピアスは今では珍しくもなく普通に見かけるようになった。
鼻の横に穴を明けて飾りをつけた女性もたまに見かける。
しかし鼻輪を装着している人間に出会ったのは初めてだ。
しかもそれを目の前で間近に観察できたのである。
彼女にとってそれは個性の発揮であるのかもしれない。
彼女なりの美の追求であるのかもしれない。
世の中の流行の先端を行っているのかもしれない。
しかし私の現在の感覚ではドッキリ以外の何物でもなかった。
(2016.03.30)