2016-05-10
915) 名マラソンランナー
昼食を済ませて会社に帰る、ビルの入り口。
そこに見覚えのある老人が人待ち顔で立っていた。
グレーのスーツにきちんとネクタイを締めた姿で。
私「君原さんですよね」
彼「そうです」
老人はかっての名マラソンランナー、君原健二氏だった。
このビルには新聞社が入居している。
あるいは、記者と待ち合わせしていたのかもしれない。
彼の戦績はすばらしい。
現役引退まで35回のフルマラソンに出場して全て完走。
オリンピックに連続3回出場。
1964年 東京オリンピック(8位、この時円谷選手銅メダル)
この結果に落ち込み、希望を失って、一度は陸上部に退部届を出したという。
1968年 メキシコオリンピック(銀メダル)
1972年 ミュンヘンオリンピック(5位入賞、日本人トップ)
輝かしい戦績である。
この他1966年のボストンマラソンで優勝。
今年は4月18日、120回ボストンマラソンが開催され
君原選手は50年前の優勝者として、ゲストランナーで出場。
4時間53分14秒で見事完走。
75歳にして、これが74回目のマラソンだという。
マラソン終盤、首を振りながら苦しそうに走っていたかっての姿を思い出す。
「苦しい時は、まず次の電柱まで走ろう、と念じながら走った」
という彼の言葉は、示唆に富んでいる。
苦難に突き当たった時の、人生の処し方にも通じるものがある・・・と思う。
(2016.05.10)