2016-11-28
1005) 徘徊
日曜日、未明、まだぐっすり寝込んでいた
昨夜来の冷たい雨がまだ降り続いていた
ぶるっと震えるほどの寒い朝だった
玄関のチャイムが鳴ったような気がして目が覚めた
夢かもしれないと思いながら布団の温もりを楽しんでいた
もう一度、今度ははっきりとチャイムが鳴った
こんな早朝に、何か悪いことでも起こったのでは?
急いで玄関に降りてドアを開けた
傘をさし犬を連れたご婦人とお婆ちゃんが立っていた
犬の散歩中と見受けるご婦人が言うには・・・
「お婆ちゃんがその角で帰る家が分からずにウロウロしていた」
「おたくで110番して警察に保護を頼んでもらえないか」
強引な頼みとは思ったが引き受けて話をしてみる
名前と年齢ははっきり覚えているが住所は分からない
110番、すぐには行けない暫く待ってくれという警察の返答
お婆ちゃんを玄関の中に入れて
タオルと温かいお茶と電気ストーブでもてなした
ほどなくパトカーが来てお婆ちゃんを引き取っていった
「このお婆ちゃんは知っています、家もわかります」
パトカーのお巡りさんの言葉にほっとした
一方で徘徊の常習者なのかもしれないと思うのだった
(2016.11.28)