朝夕の通勤電車ではだいたい同じ人が同じ電車、同じ車両になる。言葉を交わすことはないにしても、何となく顔見知りになる。そんな顔見知りの一人に、ちょっと気になる人がいる。気になると言っても異性ではない。男性だ。60歳前後だろうか、若くはない年齢だが、老人の部類には入らないだろう。そんな年齢だ。

　何故気になるのか、身体が弱っているようなのである。特に脚が弱っている。前屈みでとぼとぼ歩く姿が弱々しい。何か病気をもっているのかもしれない。押し合いへし合いの通勤電車で押されて、倒れて怪我をしないかと心配だ。それでも毎日鞄を提げて通勤している姿は神々しくもある。

　私と同じ折尾駅で乗車して、一つ前の西小倉駅で下車している。どんな職場なのだろうか。どんな仕事をしているのだろうか。家族は心配してないのだろうか。余計なことが気になるのである。自分の脚も弱ったが、他人から見たらどんな感じなのだろうか。

　　　　　　　　　　　　　　　（2023/12/12）