2月14日、昨日がどんな日なのか、すっかり忘れていた。

　バレンタインデー。本命にせよ義理にせよ、誰から何が届くか楽しみにしていた時期もあった。お返しを何にしようかと頭を痛めたものだった。それも大昔のことである。近年は2月14日も、12日や13日といささかの変わりもなく過ぎていく。

　昨日帰宅時の小倉駅で、JR制服姿の男女がなにやら配っているのに出会った。私も一つ貰って聞いてみた。

　「これなんですか？」「バレンタインのプレゼントです」「エッ！JRから？」

　JRがどんな意図でこんなものをくれたのだろうと不思議に思いながら、電車の中で袋を開いた。ビニール袋で包装した赤いバラの花と何枚かのチラシが現れた。ビニール袋には『FLOWER   VARENTINE』と題してバレンタインデーの由来が添えてあった。

『バレンタインデーはそもそも愛し合う人たちがお互いに愛や感謝を伝え合う日。世界の多くの国で、花を贈る風習があります。　　　　　　「大好き」や「「ありがとう」を伝えるのはちょっと照れくさい。そんなときの心強い味方が、想いを瞬時に伝えてくれる「花」。　　　　　　花は、心の中でずっと咲き続けるラブレター。あなたの大切な人に、気持ちを花で伝えましょう。』

　私は残念ながら今は独居老人。家に帰り、赤いバラ一輪をカップに挿し、テーブルの妻の席に置いた。今朝は、妻の代わりにバラが私を見送ってくれた。

　　　　　　　　　　　　　　　（2024/02/15）