「観測史上最も暑い夏」という言葉は聞き飽きたほどだ。その暑かった夏もいよいよ終わりが近いようだ。秋の気配を感じる機会に遭遇することが増えてきた。

　会社からの帰途、ツクツクボウシの泣き声を聞いた。家の近くで赤とんぼが飛んでいるのを見た。青い空には刷毛で描いたような薄い秋の雲がたなびき始めた。昨夜は、この夏初めて寝室に冷房を入れずに一夜を過ごした。

　一年でも最も過ごしやすい、爽やかな季節である秋。近年、その秋が短い。感覚的には、長い夏が過ぎ、待ちに待った秋が来たと思ったら、あっという間に冬と役割を交代してしまうように感じている。

　冬も必要な季節ではあるけれど、ちょっと遠慮して、暑い夏に押し込められた秋の居場所を出来るだけ長く用意しておいて欲しいものだ。

　　　　　　　　　　　　　　　（2025/09/19）