2013-03-22
450) 中欧を旅する(7)
〇カレル橋
城壁を出てダラダラ坂を下り、町の中を少し歩くと、カレル橋に出る。カレル橋はブルタバ川にかかる最古の橋である。カレル4世の命によって、1357年に着工し、60年近くかかって完成したゴシック様式の美しい石橋。全長が約520m、幅は約10mもある大きな橋で、両側の欄干に並ぶ、全部で30体の聖人像が目を引く。これらの彫像は橋の完成時からあったものではなく、17~19世紀にかけて加えられたものである。中で、旧市街からみて左側5番目の聖像は、日本でもなじみの深い聖フランシスコ・ザビエルであり、ザビエルを支える数人の人々の中に東洋人らしき像がある。ガイドからは日本人という説明を聞いたが、どう見ても弁髪の中国人に見えた。
カレル橋を渡り、迷路のように道の入り組んだ旧市街を抜けて旧市街広場に出る。
〇旧市街広場
プラハの心臓部ともいえる広場。11世紀頃、教会や商人たちの住居などが建てられるようになって、この広場が次第に形づくられていった。広場を取り囲む建物群にはゴシック様式、ルネッサンス様式、バロック様式など、時代の異なる建築物が管財して広場を美しく彩っている。広場を取り囲む主な建造物を列挙する。
△ヤン・フス像・・・この広場のシンボルで広場の北よりに堂々と建つ。ヤン・フスは15世紀のチェコにおける宗教改革の先駆者。本職はカレル大学の総長。ローマ教会の堕落を激しく批判し、教皇と教会の権威を否定したため、異端として1415年に火あぶりの刑に処された。フスの死はチェコの民衆に衝撃を与え、フスの信奉者たちはフス派を名のって立ち上がり、以後カトリック教会と激しく戦うことになる。
△ティーン教会・・・旧市街広場の東側に建つ、2本の塔がひときわ目を引くゴシック様式の教会。2本の塔は高さ80m。15世紀前半には、フス派の本拠地として機能していた。夜の青いライトアップで2本の塔が美しくうきあがる。
△旧市庁舎・・・広場を鋏んでティーン教会と向かい合うようにして建つ、塔のある建物。有名なのは天文時計だが、旧市庁舎の建物自体もかなりユニーク。もともと旧市庁舎はゼロから建設されたものではなく、数世紀をかけて増改築したり隣接する建物を買い取ったりして出来たものであり、このため装飾や大きさの異なる建物が連なっており、どこからどこまでが旧市庁舎なのかわかりにくい。建物の中には小さな礼拝堂があり、プラハ市民には結婚式場として人気がある。我々が訪れた日にも、平日にもかかわらず、2組の花嫁を見かけた。
△天文時計・・・15世紀に作られ、当時のままの姿で今も動いている天文時計は、旧市庁舎塔の下のほうにある。縦にふたつの円が並んでおり、それぞれ当時の宇宙観(天動説)に基づいた天体の動きと時間を表している。この時計を特に有名にしているのは、毎正時、窓に姿を現す仕掛け人形たちだ。時が来るとプラネタリウムの脇にいる死神が鐘を鳴らし、その音とともに塔の上にある窓にキリストの12使徒がゆっくりと現れては消えてゆく。最後に一番上で鶏がひと声鳴いて終了する。毎正時が近くなると、大勢の人々が、この仕掛けを見に時計の前に集まってくる。
我々も時間を合わせて、その一員になったが、仕掛けが動く時間が短くて、あっという間に終わってしまい、物足りなかった。
△聖ミクラーシュ教会・・・旧市街広場の西側に建つ、白壁のバロック様式の教会。現在はフス派の教会となっている。音響がよく、夏の夜にはコンサートが催される。
△ボヘミアグラス工房・・・時計台の前にある、ボヘミアグラスの工房を見学。つめ磨きのガラスヤスリをお土産にもらう。
午前中の観光を終えて、ビアガーデンで昼食。メニューはビーフシチューにスープとパン。ボリューム満点で、パンまではお腹に入らなかった。 (2013.03.22)