2014-01-27
530) 性悪説
当該食品工場ではポケットのない作業服を着せ、各製造ラインでは監視役の従業員が目を光らせていたと聞く。従業員同士も見ているので、勝手にラインを離れて、異物を混入させるのは難しいはず、という従業員の声もある。それでも犯人は隙を見て毒物を混入させた。
当該会社の社長ばかりか、その親会社であるマルハニチロホールディングスという大企業の社長も、責任をとって辞任することを表明した。会社の信用失墜も多大なものがある。
どんな恨みがあったのか知らないが、迷惑なことである。
さっそく新聞には『性善説、限界も』と出ていた。
「日本では性善説にたって従業員を疑わない傾向にあり、なかなか徹底できない」 「従業員といえども悪意をもつ人物がいないとは限らないと、意識の転換が必要だ」と説き、「従業員を含め、悪意をもって混入する人物がいる」との前提にたって各種の対策を講ずるべきだと論じていた。
食の安全のためには必要なことなのかもしれない。しかし性悪説にたって周りの人を見、何かにつけ他人を疑いながら生きてゆくというのは窮屈なことだ。こうしてとんでもない不心得者が出るたびに、世の中はどんどん生き難くなっていく。(2014.01.27)