879) オリンピックマラソン代表
お世話になった会社のことはいつまでも気になるものだ。私は安川電機という電機メーカーに長年勤務した。今でも安川電機に関するニュースには敏感だ。
昨日は琵琶湖毎日マラソンのテレビ実況中継に興奮した。安川電機陸上部の選手が2人も大活躍したからだ。2人の姿はスタート当初からゴールまでテレビ画面に出ずっぱり、全国のマラソンファンを興奮させてくれた。
一人は2大会連続のオリンピック出場を狙った中本健太郎選手。彼はロンドンオリンピック6位入賞、世界陸上モスクワ大会5位入賞という実績をもつ。マラソンを走るたびに必ず上位入賞するという、飛び切り安定したマラソン実績を引っ提げての出場だ。
もう一人はマラソンを初めて走ったのが1年前でこれが3回目のマラソン、過去2回のマラソンはどちらも優勝している。31歳と遅咲きながら、まだ他人に負けたことがないという、未知の可能性を秘めた北島寿典選手だ。
中本選手は最初から日本人先頭集団を形成して走っていたが、30キロを過ぎてから少しずつ遅れ始めた。それでも8位に入賞、日本人では6位だった。安定した彼の実力はこの大会でも立派に証明された。
北島選手の活躍は見事の一語につきた。30キロ過ぎて飛び出した選手にも、自分のペースを乱されることなくついていった。35キロを過ぎた頃から右わき腹を抑えたり、叩いたりし始めた時にはヒヤリとした。腹痛のせいか40キロ手前では少し遅れたが、最後の2キロでスピードアップ、先行する日本人先頭の選手を抜き去ると、2位の外人選手をもとらえ、ゴールした時には先頭のケニアの選手にたった5秒の差まで追い込んでいた。自己の記録を3分も短縮してのゴールだった。妻と2人、我が家は北島コールで沸き立った。
これで北島選手のオリンピック出場は間違いないだろう。マラソン競技はオリンピックの華だ。大勢のマラソン選手が挑戦した中で、安川電機陸上部は、そのオリンピックマラソン競技に2大会連続して選手を送り出すという、どえらいことを成し遂げた。
競技後のインタビューでアナウンサーからオリンピックのことを聞かれ、「行きたいですねー。選んでもらえたらいいですねー」と答えながら、にっこり笑った北島選手の笑顔がとても素敵だった。(2016.03.07)