2016-07-27
961) 障害者施設殺傷事件
テロとは『政治的な目的を達成するために暴力および暴力による脅迫を用いること』と定義されている。神奈川県相模原市の障害者施設でおきた障害者殺傷事件は、政治的な目的という用件が欠けているからテロとは言えないだろう。しかし被害者数の多さは、テロにも匹敵するような悲惨な事故である。
死者19人、重軽傷者26人。たった一人の人間が、刃物を使ってやった犯行とはとても思えないような人数だ。相手がおとなしい障害者だからそこまで可能だったのだろうか。
その障害者施設に勤務していた当時、犯人は「障害者は生きていても意味がない。安楽死させた方がいい」などと話していたという。また、知人に向かって「障害者なんかいらないから、一緒に殺さないか」と誘っていたともいう。障害者に対して、なぜそんな偏った考え方をするようになったのか、彼の心の闇はわからない。
さらには事件前、衆院議長の公邸に事件を予告する内容の手紙を持参するという奇矯な行動をとっていたことも明らかになっている。その意図するところもわからない。
少年時代は社交的で明るい性格だったという。一時期は教師になることを目指して教育実習に励み、いい実習生と評判だったという。そんな青年がどこで人生を狂わせてしまったのだろうか。希望通り教師になれていたら、こんな事件をおこすことはなかったのだろうか。(2016.07.27)