妻が病気になって施設に入り、私が独居生活に突入してから6年になる。独居生活で最も困るのは食生活だ。根っからの無精者だから、自分で料理する気にはなれない。朝は食パン1枚、夜は宅配夕食で済ませている。

　だから昼食は、栄養のバランスを考えて、ラーメンやうどんといった単品ではなく、出来るだけ色々な食材の入った定食物を食べるようにしている。

　ところが会社の近くの定食屋さんがこのところ相次いで廃業した。定食屋のお客は昼食時の短時間に集中する上に、客単価は安い。忙しいわりに儲からない業種だろうと想像できる。お店が廃業するのも仕方ないとは理解できる。理解は出来ても、困るのである。

　このところ同じ定食屋続きで飽きたので、先日、いつもは避けていたうどん屋に飛び込んだ。このお店は卓上の機械に向かって注文するという、私が苦手とするコンピューターのシステムを導入している。画面の最初に「豚汁うどん」が映っていた。操作するのも面倒なのでそれを注文した。

　食べてみて驚いた。野菜に肉に豆腐。諸々の食材で充たされている。その上、旨辛味噌の味がなんとも絶妙だ。以来私は豚汁うどんの昼食にはまっているのである。

　　　　　　　　　　　　　　（2025/02/26）