
2025-03-18
1967)どうぞ、おかけください
座席は勿論のこと、立っている乗客もぎゅうぎゅうだった。「途中駅のどこかで座れたらいいなぁ」と思いながら吊革に捕まった。
後ろからポンポンと肩を叩かれた。向かい側の席を空けて、若い女性が立っていた。「どうぞ、おすわりください」「いいえ、いいですよ」「私、次の駅で降りますから、どうぞ、どうぞ」「そうですか、それではありがとうございます」
彼女はすぐに場所を移動してしまったので、本当に次の駅で降りたのかどうか確かめることも出来なかった。もしかしたら、席を譲るための親切な嘘だったのかもしれない。本当にありがとうございました。
それにしても、席を譲ってやろうと他人に思わせてしまう、そんな老人になったんだなぁ。
(2025/03/18)