
2025-03-27
1973)行方不明の彼
毎日、夕刻、その青年は折尾駅前のよく目立つ所に、よく目立つ装いをして立ち、持参の音響機器から流れるリズムに合わせて一人で踊っていた。
不思議な印象を受けたその姿も、折尾駅の一つの風景として私の中では次第になじみ始めていた。警察官に職務尋問を受けているらしい姿を見かけた時には、余計なお世話ながら勝手に心配もしてやった。
彼はどうして消えてしまったのだろう?
踊るために消費する労力や気力はとてつもなく大きかったはずだ。何のために彼はそんなことをしようと思ったのだろうか?そこから彼は何を得ようとしていたのだろうか?もしかして、彼が目指したものが得られなかったのだろうか?私に分かるはずもない。分かるのは一人の青年が突然現れて、突然消えたということだけである。
(2025/03/27)