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てげてげブログ
2008-11-21

10)通勤読書 2008.11.21

 家を出てから会社に着くまでにほぼ1時間。バスとJRを乗り継ぎます。歩行や乗換時間を除いて、乗物のシートに座っている時間が30~40分。電車は必ず座ることの出来る各駅停車を利用します。この往復1時間強が私の読書時間です。読むのは持ち運び便利な文庫本、中身はほとんど小説。面白い作家に行き当たったら半年から1年は同じ作家とお付き合いさせてもらいます。浅田次郎がそうでした。宮部みゆきもそうでした。この前までは帚木蓬生(ハハキギホウセイ)でした。今は藤沢周平です。後ろの書棚には読み終わった周平本が30数冊積まれています。

 これまで時代小説というのはあまり読んでいませんでした。何となく古臭いような気がしていたというだけの理由です。しかし藤沢周平を読んでみると、設定された時代こそ古いものの、今現在が描かれているような、そんな気持ちにさせられます。古い材料を使って、今を料理していると言えばいいのでしょうか。もっと言えば人間模様は昔も今も変わらないのかもしれないという気がします。それに風景や気候の描写がとても綺麗で生き生きしていて、小さい頃の自分の郷里の情景をふっと思い浮かべてしまいます。

 長編より短編の方が私は好きです。テンポが早く、歯切れが良くて、読みやすい。直近では『よろずや平四郎活人劇 上・下』が面白かったです。旗本の子弟ではあるものの、亡き父親が台所働きの下女に生ませた子。祝福されない冷や飯喰い。生家の冷ややかな空気に思い屈し、家を出て裏店に住みつくが、収入がない。さっそく生活に窮した末に思いついたのが、有料のもめごと仲裁業。『よろずもめごと仲裁つかまつり候』という看板を掲げ、面白おかしくも悲哀に満ちた庶民のもめごとを解決していくという筋書き。有料の仲裁業(そんなものがあったのでしょうか?)という着想、時々は秀でた剣技を使ったりもするけれど、なにがしかのお金で金銭解決してゆくという現実的な解決法-----感心しながら読みました。藤沢周平さんとの付き合いにはもう少し時間がかかりそうです。

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