2008-12-19
20)派遣切り 2008.12.19
今朝の新聞には、参議院で雇用対策法案を、与党ではなくて野党が強行採決したという記事がありました。自民党は猛反発しているようです。この問題については与党が考えることも、多分大きく違わないのじゃないかと思うのですが、この人達はどうして話し合いで決めようとしないのでしょうか。事は急ぐ問題だというのに-----。面子争い、主導権争い、手柄争い、そういうことはこの人達にはそれ程にも大切なことなのでしょうか。
地方自治体でも救済策を色々模索し始めたようです。公営住宅を低家賃で提供する、臨時職員で採用する、生活費を融資する等々。生活保護の申請も急増しているとか。
派遣切りという言葉で思うことがあります。昔、といってもたかだか20年位前までは、派遣という制度がこれほど普及してはいませんでした。企業は必要な人材を自分で雇っていました。なかで正社員とか臨時社員とか季節工とかパートさんという区分はあったにしても、自分で雇った人達を主体にして企業がなりたっていました。
不況に直面したら、企業は経費の削減に取り組み、内部留保を取り崩し、株や資産を売却し、我慢に我慢を重ねて、それでも耐えられなくなった時に人に手をつけていたと思います。それも希望退職とか早期退職優遇制度とかいう柔らかい手法が採用されました。
今回は様子がまるっきり違いました。先行き不安という臭いがたち始めた途端に、真っ先に人に手がつけられました。問答無用の手法で。それも超優良企業、超有名企業が先駆けしました。
そこには自分の手を汚すか、汚さないか、それによって違ってくる心理的なものがあるような気がします。自分が雇った従業員に自分の口から「クビ」だよ、と言うのは心理的には重たいものです。それに比べると派遣社員や請負社員は「よそ」の従業員です。「クビ」だよと言わなければならないのはよその会社です。部品納入業者に「半減」と言うのとおなじ感覚で「500人削減」と冷厳に申し渡せる、企業側のそんな心理的な負担の軽さが今回の動きの根底にありそうな気がします。それがあの異常なほどにスピード感のある派遣切りになって表れたのではないかと思うのです。
世の中そんな単純なもんじゃないよ、とお叱りを受けそうですが、一つの要素ではあるような気がします。ほんの小さな要素であるにしても。