2009-03-26
49)福岡県立大学 2009.3.26
大学には人間社会学部と看護学部の2学部があり、人間社会学部は公共社会学科、社会福祉学科、人間形成学科の3学科で構成されている。他に大学院や付属研究所をもち、学生数1000名のこじんまりした大学である。
この大学に「キャリアサポートセンター」が開設され、日本産業カウンセラー協会にキャリアカウンセラーの派遣要請があったのが3年前のことである。私はセンター開設当初からここで学生さんの相談にのり、就職活動のお手伝いをしてきた。就職活動を通じて逞しく育ち、羽ばたいてゆく多くの若者の姿を見つめてきた。女性のカウンセラーと2人で相談日を分担、相談対応は13時から17時まで。私の担当日は、最初の2年間は週2日だったが、3年目は週1日に減らしてもらった。
その役割が今日で終わる。この厳しい経営環境にあっては、余技に時間を割くわけにもいくまいと社業に力を注ぐ決心をし、カウンセラー協会にもその我侭を聞いてもらった。なんだか寂しい思いもする。何がしかのお役にはたてたかなという充実感もある。色んな思い出もある。
そのひとつ。一人の好青年がいた。A君という。何社も受験するが、最後の面接で落ちてしまう。事前に準備し過ぎることもあって、面接本番で硬くなり、本来の彼の良さがだせないのが良くないようだ。何回か模擬面接もし、もっと自然体で臨むように話し合ってもみたが旨く行かない。こんな好青年を見抜けない今どきの人事担当者の能力に呆れたものの、いかんせん、もはや就職戦線も殆ど終わりが近かった。彼自身も、外国でのワーキングホリデーに興味を示すなど、その年の就職は諦めかけていた。
このまま埋もれさせるには勿体無い人材と、カウンセラーの役割を逸脱して、旧知の企業に頼み込んで追加採用の枠を一つ開けてもらった。そしてすんなり合格。今はその会社で周囲に可愛がられて大活躍している由。評価も高く、さらに新しい仕事に挑戦させてみようかという話も出ていると聞いた。
車窓に流れる田園風景、ディーゼルカーに揺られて、田川の地を訪れることはもうないかもしれない。色んな思い出や沢山の得がたい経験をありがとうございました。大学の発展を外からお祈りいたします。