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てげてげブログ
2010-02-12

138)生きもの感覚 2010.2.12

  朝日新聞の『ことば』という欄に、『西田健作』という記者の署名入りで、思わずニヤリとしたくなる文章が載っていた。そっくりそのまま転載させてもらって、縁あってこのブログにお立ち寄りくださった方々とそのニヤリを共有したいと思う。
                        ★★★
  1月26日に都内のホテルであった第51回毎日芸術賞の贈呈式で、特別賞に選ばれた俳人で朝日俳壇選者の金子兜太(とうた)さんがあいさつした。90歳の俳人がハレの場で口にした言葉は、ふるさと秩父の「生きもの感覚」にあふれていた。
  「授賞の講評にある句 『男根は落鮎(おちあゆ)のごと垂れにけり』 は、自分のことを書いたのであります。」と金子さん。張りのある声でこう続けた。
  「落鮎という言葉を使うのには多少の苦労がありました。秩父には里人の言葉として、男性のものを表すのに4通りの言い方があります。老年期が非常にユニークで 『ぎゅうない』 というんですね。私の考えでは、ぎゅうっと握ったら無くなっちゃうということだと」
  会場は大笑い。金子さんの話は止まらない。「でも、句でぎゅうないにしなかったのは、私のにはまだ落鮎程度の実体感がある、と。そのことを申し添えたい」
                        ★★★
  こういう話をハレの場でサラリとやれる金子さん-----人生90年の貫禄かと感服した。またこの話とその場の雰囲気を、これだけの短い文章の中で見事に紹介した記者の筆力にも感服した。

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