寒くなり、庭に「めじろ」がよく飛んで来るようになった。「さざんか」の花の中にくちばしをさしこんで蜜を吸っている姿が愛らしい。

　　花の蜜だけでは腹も膨らむまい、先日収穫した「はっさく」を食べさせてみようと思い立った。妻が、はっさくは酸っぱいから食べないだろうと言う。まあ、試しにやってみようということになった。早速小ぶりのはっさくを半分に切って、庭石の上に置いてみた。

　　すぐに数羽のめじろが飛んで来てついばみ始めた。喧嘩の強いめじろは弱いめじろを追い払って独り占めしようとする。弱いめじろが可哀想じゃないか、というので、木の枝に結び付けた竹箸にはっさくを突き刺して、餌場をいくつか増やしてやった。

　　ところが・・・何処でかぎつけたものか、めじろよりは格段に大きくて無愛想な灰色の鳥が飛んで来た。めじろはたちどころに何処かに姿を消した。図鑑を見てみると「ひよどり」という鳥のようだ。ひよどり同士でもやはり強いのが弱いのを追い払う。

　　満腹したのか食べ飽きたのか、ひよどりが姿を消すと、隙を狙って何処からかめじろがすぐに飛んで来る。そしてまたひよどりがやってくる。ガラス戸の向こうを、小鳥が右に行ったり左に行ったり飛び交っている。
　　そんな光景を炬燵の中から、飽かず一日眺めていた。庭には中が空っぽになったはっさくの半分切れが幾つも幾つも転がった。（2011.01.18）