2012-01-16
360) トラが死んだ
1994年8月22日、リビングに置かれたダンボール箱の中で生を受けた。
妻が母猫シロのお腹をさすりながらお産をさせた。
シロや私達夫婦の愛情を一杯に受けてトラは我が儘一杯に育った。
人間で言うともう90歳前後のおじいちゃんだったはず。
歳に似合わず甘えん坊で、自分本位で、好きなように生きていた。
そんな奔放なところがまた可愛いかった。
常と変わらず元気にしていたのに、逝く2日前に突然様子がおかしくなった。
病院に入院させて点滴注射を受けさせたが再び元気にはならなかった。
今朝は斎場でトラの遺骨を拾いながらあれこれの思い出に浸った。
人間の夕食時にはミャーミャー泣いて、お裾分けをねだった。
それがトラの死因となった腎臓を弱らせたのかもしれない。
夜遊びはしても外泊したことはなかった。
夏の夜は待っても待っても帰ってこないことがよくあった。
それでも朝方気がつくと、必ず自分のベッドで寝ていた。
何かと言うとミャーミャー泣いては妻に怒られていた。
私達が外出から帰った時、玄関に迎えに出てくるのはトラだった。
冬の夜、妻の寝床の中に潜り込んでくるのもトラだった。
ミャーミャー泣きながら会社に行く私の後追いをしていた子猫の頃・・
思い出は尽きない。
比べて母猫シロは貴婦人のごとく気位が高くていつもツンとしている。
食べ物をねだりもしなければ、寝床に潜り込むこともない。
そのシロは19歳半でまだ存命である。
自分の息子が逝ったことを知っているのか、いないのか。
(2012.1.16)