2012-03-13
379) 再び 中本健太郎選手のこと
安川電機陸上部は、駅伝競走を主体としたチームである。最大の目標は元日の全国実業団駅伝で良い成績をあげることである。一年365日、毎日そのための練習を積んでいる。
駅伝では一人が10キロからせいぜい20キロ程度の距離を走る。スタミナに加えて、スピードが大切だ。従って、日頃からインターバル走など、スピードを磨く練習が繰り返される。さらにトラック競技でスピードを競う。
一方マラソンは42.195キロ、この長い距離をこなすことが絶対の条件なので、駅伝とは練習方法がいささか異なってくる(と聞いている)。
中本選手は、安川電機に入社した当初スピード不足で、駅伝の選手としては戦力にならなかったらしい。このままでは陸上部に在籍し続けることも難しい、というので監督がマラソンを勧めたという。スピードはなくても、スタミナがあり長い距離を安定して走れる中本選手にとって、マラソンは天の配剤になった。見事にそこで花を咲かせたのである。マラソンを勧めた監督の喜びも一入だったろう。指導者の生き甲斐というのはそんなところにもあるのだろうと思う。
人材ビジネスにおいても、これは一つの教訓になる。ある企業でうまく機能出来なかった人が、別の企業でなら存分に活躍してくれるかもしれない。ある職種でくさっていた人が、職種を変わった途端に活き活きと蘇るかもしれない。
その人の長所・短所を見抜き、彼(彼女)に合う仕事を見つけて紹介し、必要ならばそこに適応するまでの支援をする。そして彼(彼女)は幸せな職業人生を築いてゆく。
そんなお手伝いが出来たら、仕事冥利、コンサルタント冥利に尽きるというものである。(2012.03.13)