3ヶ月あまり前のことだった。　　
20歳になった愛猫シロが明日にも逝きそうな状態になった。
何も食べなくなった。水も牛乳も飲まなくなった。
寝てばかり、みるみる痩せてしまった。
天国に召される日が近い・・・そう感じさせた。

妻は予定していたベトナム旅行をキャンセルした。
うまく妻を引き止めたシロはほどなく元気になった。
旺盛な食欲が戻り、もりもり食べはじめた。
体重もいくらかずつ戻ってきた。
お別れの時がずっと先に遠のいた・・・そんな思いをもった。

けれどそんな幸せな気分も長くは続かなかった。
4～5日前からまた食べなくなった。
妻は必死で色んな餌を与えているが食べようとしない。
一時は6キロを越していた体重が2キロをきるまでに痩せた。
抱くと紙のように薄っぺらで軽い。

3ヶ月前とはいささか違う様子も見せている。
今まで殆ど鳴かなかったのに、ミャーミャーと妙な声でよく鳴く。
一昨夜は夜通し鳴いて眠らせてくれなかった。
寂しいのかもしれないと昨夜は妻がシロの近くに布団を敷いて寝た。
安心したのか、昨夜はあまり鳴かなかった。

今まで殆ど家の中で生活していたのに、しょっちゅう外に出たがる。
出してやると鳴きながら庭をうろうろ歩き回る。
猫は自らの死を隠すと聞く。
死に場所を探しているのでは・・・ふとそんな思いがよぎる。
　　　　　　　　　　　　　　　（2012.09.10）