音楽については全く知識がないし、関心も無い。
だから『佐野河内守』氏の名前も存在も知らなかった。

彼が『聴覚を失った現代のベートーベン』と呼ばれる
著名な作曲家であることを知ったのは今回の事件の後である。

記者会見をした10数年来のゴーストライター氏は、
佐野河内氏の作品は全て自分の作品だったというだけでなく、
彼の耳は聞こえていたとか、
ピアノは初歩の段階だったとか、
楽譜は全く書けないとか、
彼の嘘で固めた人物像を描いてみせたらしい。
でも不思議に思うことも少なくない。

10数年秘密にしてきたことを今さら表面化したのは何故？
嘘をつき聞こえないふりをとおすなんて当人は苦しくなかったの？
家族をはじめ周囲の人達は嘘に気づかなかったの？
それもこれもお金のため？名誉が欲しいから？
本人やゴーストラーターは何か罪に問われるの？
騙されて信用を失墜した放送局や出版社はどうするの？
レコードや本を買った人は買い戻してもらえるの？
既に発表された曲の芸術的価値までもゼロにおちるの？
今までその曲を誉めそやしてきた評論家達はどうするの？
そもそも彼自身の精神はこのショックに耐えられるの？

もともと関心のなかった私にはどうでもいいことではあるけれど。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（2014.02.07）