2014-04-09
576) 8億円
問題が発覚した当初、渡辺氏は個人的な借金であり、個人的に使ったのであって、何らやましいことはないと主張していたが、そういう理屈では切り抜けられなかったようだ。
政治は数の世界である。仲間が少なくては何もできない。新党をつくり、多数の新人議員候補を発掘して、衆院選や参院選に立候補させる。新人は選挙資金をもっていない。供託金も納められない。引っ張り出した党首の渡辺氏が援助してやることになる。しかし渡辺氏自身だってそれほどお金を持っているわけではない。そこで渡辺氏をあるいは新党を応援してくれる人から必要資金を借りたり、貰ったりする。まことに自然な流れではないかと思う。
初めから隠さずに、それをオープンにしておけば問題なかったのではないかと思うのだが、政治資金に関する法の定めは複雑でよく分からない。
渡辺氏の政治生命はこれで一巻の終わりになるのか、はたまた再復活をはたせるのか。
テレビで見る渡辺氏はいつも舌鋒鋭かった。自分だけが正しくて周りは間違っているという主張が目立っていた。政治資金をめぐる過去の事件では、責任をとって辞任すべきだと厳しく攻撃していた姿が目に浮かぶ。その攻撃の矢がブーメランのように自らに突き刺さったとも言えなくはない。
一緒にみんなの党を創り育ててきた同志、江田幹事長をじわじわと追い詰め、ついに追い出した際の独裁者的で陰気なやり口も印象に残っている。渡辺商店と称された党運営のあり方、自分に従わない者、異なった意見をもつ者を受け入れきれない度量の狭さ、その辺に渡辺氏転落の根があったのではないかと思う。少なくても私は、彼のような人と一緒に仕事をしたくはない。
メールひとつで8億円もの大金を差し出したその人自身が、今回は渡辺氏を失脚させるために大働きした。そこに何があったのだろうか。仲たがいの原因を知りたいと思う。（2014.04.09）
