2014-05-22
601) 街角のある風景
明治・大正期の小説には生活費に困った若奥さんが、親から貰った大事な着物を風呂敷に包んで、知人に見つからないように気を使いながら隠れて質屋に通う・・・といった風景が描かれている。しかし今どきの質屋は堂々と車で乗り付けるところのようだ。
質屋には生まれてこの方行ったことがない。だから質屋の仕組みや業界の事情を知らない。質草を預けてその価値の範囲内でお金を借りる、お金が工面できたら借金を返済して質草を請け出す・・・というのが基本型だと理解している。しかし今どきは売買に近い取引の方が多いのかもしれない。
店の周りをど派手に飾り立てている看板や幟の中に、無料査定と並んで、「高価買取」や「本気の買取」や「業者大歓迎」といったものが目を引くことから、ふとそんなことを感じただけのことである。
しかしそんなことは私にとってはどうでもよいことだ。これから先も、生涯にわたって質屋とは縁のない生活をおくりたいものである。(2014.05.22)