2014-06-13
614) お伊勢参り続編
帰宅したら封書が届いていた。ペン書きの達筆な表書きだ。裏の差出人には「お伊勢さん観光案内人 長尾 晃夫」とあった。熱心に伊勢神宮を案内してくれたあのおっちゃんからである。背広も脱がずに封を開いた。流れるように書かれた達筆な文字を追いながら、参ってきたばかりのお伊勢さんの光景と、人のよさそうな長尾さんの顔がもう一度目の前に浮かんできた。長尾さんには無断でその一部を転記させてもらう。
『 ・・・・・本日は外宮、内宮の両宮にわたりまして風薫る清々しい神域をご一緒させていただき、明るく穏やかなお人柄の皆様と和やかな楽しい時間をすごさせていただきましてありがとうございました。・・・・・皆様には、遷宮が終りましてからまだ日が浅く新しい檜の素木が美しい新宮にお参りなされてよろしゅうございました。また時期的にも遷宮直後の混雑がようやく収まりましたので、ごゆっくりとご参宮ができまして好都合でございました。外宮では平成5年の遷宮から20年の歳月が流れた古びた佇まいの旧ご社殿がまだ残っておりまして、新ご社殿と隣り合わせで拝観できました。新旧のご社殿を目のあたりになされまして20年の時の移ろい、常若の神宮をお感じになられたことと存じます。・・・・・ 』
この人は自分自身が心底からお伊勢さんを愛しているのだろうな、そして一人でも多くの人々に愛するお伊勢さんの良さを紹介し案内することに生きがいを感じているのだろうな・・・と思うことだった。そんな素晴らしい「案内人」にめぐりあった幸運を喜びたいと思う。ちなみに長尾さんは70歳をいくつか越した年齢のようである。(2014.06.13)