2016-04-27
911) 目標値
三菱自動車が燃費試験データの不正問題で揺れている。会長や社長の辞任は避けられないようだし、そこに止まらず会社の存続さえもが懸念されている。
消費者の信用を失った結果、売り上げが減るのが最大の問題だろう。その他にもこの不正による直接的な出費が1000億円を超えるという。エコカー減税の返納、ガソリン代補填、供給先である日産自動車に対する補償、はては中古車の評価額が下がることに対する補償も検討されているという。
この車を開発するに当たっては、燃費目標を5回も引き上げたという。競合他社の開発情報を得るたびにそれを上回るように引き上げた。次々におりてくる出来もしない高い目標値。確固たる思想なしに他社の情報に振り回される開発の在り方。実態の伴わない数値だけのごまかしが生まれた根っこは、そんな会社の土壌にあったのかもしれない。
あの名門企業東芝では、上から押し付けられる利益の積み増し目標が不正経理の原因になった。それを機に業績の悪化が表面化して、今は事業を切り売りしながら生き延びようとしている。
簡単に達成できる低い目標のもとでは成長は望めない。企業は高い目標に挑戦しながら成長してゆく。しかし目標が高すぎると、社員が目標達成の意欲を失うばかりか、その場をごまかすための不正を生むかもしれない。業績の向上を狙った筈が、かえって企業の存続自体を危うくする。
高からず、低からず、目標の設定というのは難しい。(2016.04.27)