1. 薬剤師の求人・転職TOP
  2. てげてげブログ
てげてげブログ
2017-05-31

1059) 特区









加計学園の獣医学部新設問題を巡る文科省の前川前次官と官邸との泥仕合はまだ続きそうだ。前川氏はマスコミを通じて、政府筋から文科省に圧力がかかり、行政のあり方がゆがめられたとする証言を次々に発表している。一方で官邸は、個人の発言としてこれを無視する姿勢を崩さない。


察するに安倍総理の意向を受けた内閣府や首相補佐官から前川氏に圧力をかけたという事実は多分あったのじゃないかと予想するし、それらを記した文書も存在するのじゃないかと思う。政府はあるならあると認めてもらいたいと思う。


しかしマスコミが伝えるように、それが総理のお友達である加計学園に便宜を図れという趣旨の圧力ではないだろうと思うのである。一国の総理たる者がそんなちんけな指示を出していたとしたら、日本の政治に対する信頼が地に落ちてしまう。


聞くところによると日本ではここ50年以上に亘って大学の獣医学部が新設されていないのだという。獣医師が増えて競争が激しくなることを嫌う獣医師団体の既得権益が重視され、文科省も厚労省も農水省もそれを守ってきたのだという。ペットを飼う家庭が増えて、獣医師の需要も増えているのに拘わらず、だ。


既得権益に風穴を開けたい安倍政権は特区の制度を使って愛媛県に獣医学部を新設しようとした。従来路線を守りたい文科省はこれに抵抗した。特区を担当する内閣府や首相補佐官は政権の意向を受けて、文科省に圧力をかけた。それを提案した大学が加計学園で、その理事長がたまたま安倍総理のお友達だった・・というだけのことだと私は信じたい。


今騒がれている、総理と加計氏がお友達だとか、前川氏が出会い系バーに出入りしていたとかいう泥仕合は話の本筋から離れているのではないかと思うのだ。


そういう中で前川氏の一つの言葉に私は違和感をおぼえた。政府からの圧力により『行政のあり方がゆがめられた』という前川氏の言葉である。この言葉には官僚の判断が最も正しいのだという驕りが隠れているような気がしてならない。行政のあり方とか、難しいことを言わずとも、抵抗勢力であった文科省に対し、それを打破したい官邸が圧力をかけた、そんな単純な構図ではないかと思う。官僚主導から政治主導へというかって流行った掛け声はそれを狙っていたのではなかったか。そして国民もそれを受け入れたのではなかったか、と思う。


※「特区」とは何か(朝日新聞「キーワード」の解説より)  

構造改革の目玉の一つ。中央官庁や業界団体の抵抗が強い規制緩和について、特定地域に絞り先行実施し、その後全国に拡大する。自治体や企業が提案し国が認定。

                           (2017.05.31)  

>> ブログ記事一覧へ