1082) 長期政権
「一強」と言われ、次の総裁選も間違いなしと見られていた安倍政権が、このところ揺れている。「一寸先は闇」と言われる政界のこと、展開次第では政権交代もあるのかもしれない。
問題の一つ。総理の国会での高飛車な答弁や、東京都議選の応援演説での「こんな人たち」発言などが攻撃されている。長期政権が続いているが故に、総理自身の気持ちの中に謙虚さが薄れたり、気の緩みが生じたりした結果かもしれない。また、総理の生来の負けず嫌いな性分が気の緩みとともにひょっこり顔を出したのじゃないかとも思う。
森友学園や加計学園問題は、贈収賄といったタチの悪い問題ではないようだが、鎮火に時間がかかっている。総理のお友達や親しい人に、特別な便宜が図られているのではないかといった庶民の嫉妬心を軽く見たら火傷するということじゃないか。韓国の朴大統領が罪に問われているのも類似の国民感情によるものじゃないだろうか。
文科省や自衛隊での公文書廃棄問題。都合の悪い文書は廃棄してしまって存在しないというのは、最初から嘘の匂いがした。お役所の隠蔽体質がもろに出ていて、いかにも胡散臭かった。この問題でも庶民は政府を信用しなくなった。
大臣が失言したり、国会でうまく答弁できなかったりという問題も発生した。あるいは所属の女性国会議員が「このはげーっ」と叫ぶパワハラ事件もあった。総理の力でこれらを全て未然に防ぐのは難しいだろうと思う。しかしその幾分かは、長期政権故の自民党全体の気のゆるみが影響しているのだろうとも思う。
都議選での自民党の大敗北もあった。小池旋風に加えて、これらの要因が総合的に影響した結果なのだろう。
第2次安倍政権の前に、6人の総理がほぼ1年毎に交代するという時期があった。安倍ー福田ー麻生ー鳩山ー管ー野田。世界中の笑いものになり、日本は信頼を失った。安倍総理のもとでようやく世界の指導者たちと対等に、あるいは対等以上に付き合えるようになったのに、ここでまた振り出しに戻るのだろうか。(2017.07.21)