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てげてげブログ
2023-05-26

1269)いろとあだな

 私の父と母はどちらも艶々と輝く黒褐色の肌をしていた。生まれついての素質に加えて、南国鹿児島の漁師町で、輝く太陽と強い海風で磨かれたたまものだろう。

 その遺伝子を受け継いで、私の肌は並外れた色黒だ。亡くなった兄と弟も黒かった。女だから気の毒ではあるが、姉も妹も色が黒い。

 つまり私の両親は、5人の子供全員に、一人もれなく、自らの色黒の遺伝子を伝えることに成功したのである。


 小さいころから「くろちゃん」と呼ばれて育った。80歳を過ぎた今でも「くろちゃん」と呼ぶ友達が何人かいる。その他にもいくつかのあだ名をいただいたが、みんな色に繋がるものだった。「くろんぼ」「どじん」「いんどじん」「いんでぃあん」等々。

 また一時期、そのマスコットが流行ったころには「だっこちゃん」というあだ名で呼ばれたこともある。


 幼い弟が悪さ連中から「こがれ~、こがれ~」と囃し立てられ、虐められたと泣いて帰ってきたこともある。

 「こがれ」というのは鹿児島の方言でおこげのことである。昔、薪でご飯を炊いていたころ、お釜の底にくっ付いていたあの黒褐色のおこげである。なかなかに、言いえて妙な表現ではある。


 年齢を重ねて、いくらか肌の色はさめてきたのかもしれないが、父と母から受け継いだ色濃い(A×A)の遺伝子はそう簡単に剥げ落ちるものではあるまいと思う。

                 (2023/05/26)

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