2023-06-13
1281)二の腕を見つめる
国語辞書によると、第一の意味は「腕のうち、肩から肘までの部分」、第二の意味は「腕のうち、肘から手首までの部分」、そして現在は第二の意味で用いられることはほとんどなく、もとは誤用から出発した第一の意味で主に用いられる、と出ている。
私が書こうとしているのは、今では用いられることが少なくなった第二の意味の「二の腕」のことである。
梅雨の合間、晴れてはいるものの非常に蒸し暑い。暑さ対策で、今日からワイシャツを長袖から半袖に着かえた。ジャケットを脱ぐと二の腕がむき出しになる。今、机の上には私のふたつの二の腕が伸びて、パソコンのキーを叩いている。前置きが長くなった。ようやく今日の主役の登場だ。
普段は長袖に隠れて見えない二の腕が間近に横たわっている。よくよく見ると、皮膚に艶がない、張りがない、あちこちにシミが浮いている、たるんだ肌の全面を細かいさざ波のようなシワが覆っている。こんな肌に今まで気が付かなかった。じっと見ていると気味が悪くなってきた。爬虫類か何かの表面はこんなじゃなかったかな、と連想する。若い頃はもっと張りや艶があったのじゃないかと思う。
人生100年時代。とは言うものの人体を構成する部品は夫々に、確実に劣化していく。耳は聞こえなくなる、目は見えなくなる、足腰は弱くなる。気味が悪くなるさざ波シワもその一つの現象に過ぎないのだろう。
(2023/06/13)