毎朝夕、電車の窓から「ビッグモーター」の店舗を眺めながら会社に通っている。国道沿いの良く目立つ場所に位置し、大きな看板が立ち、多数の中古車が並んでいる。宣伝効果抜群だ。

　最近、この会社の記事が新聞に載らない日がない。次々に会社の悪行が報じられる。行政当局の調査も入るらしい。将来、会社が成り立たなくなるんじゃないかと懸念するほどだ。悪いことをしたんだから仕方がない、と言えば仕方がない。

　ニュースをぼんやりと見たり聞いたりしていたので詳しくは覚えていないが、なんだか幼稚で単純な悪行が多かったような気がする。お客様の車にわざと傷をつけて保険金を増額請求しただの、店舗の前の街路樹を除草剤で枯らして店舗が目立つようにしただの、がその代表格だ。

　会社から与えられる厳しいノルマを達成するために、末端では不正行為が拡がったというような解説も読んだ記憶がある。『ノルマ』を国語辞書で引くと『割り当てられた仕事の量』とあり、普通の言葉だが、いざ使われる場面では「苛酷なノルマ」という具合に恐ろし気な衣を着ることが多い。

　ノルマと似たような言葉に『目標』がある。会社はどこでも目標を立て、その達成を目指すものだ。その何処にでもある『目標』がどういう時、どんな経過で、社員を悪事にまで駆り立ててしまう『ノルマ』に転化するのか、考えてみる必要がありそうだ。

　　　　　　　　　　　　　（2023/08/04）