これまでにもやらかした同様の失敗を教訓に、この手の忘れ物防止策は講じていた。具体的には朝の出勤時に持参すべき小物はすべて専用の小箱で管理し、朝どんなにバタバタしていても忘れないようにしていた。

　例えば腕時計、スマホ、小銭入れ、バスとJRの定期券、玄関の鍵等は会社から帰宅したら即、全部一つの小箱の中に入れておく。朝はそれをそっくり持って家を出る。この単純な対策で十分対応できていた。

　ところで昨夜はほろ酔い気分の晩酌後、何件かの電話をしようと思い立った。そして電話を済ませた後、スマホを例の専用小箱に戻し忘れ、テーブルに置きっぱなしで寝てしまった。今朝になって老化した脳味噌はそのことを忘れていた。

　今朝、専用小箱の中身は全部持って家を出た。当然ながら、その中にスマホは入っていなかった。という恥ずかしの顛末である。気付いたのはバスに乗ってしばらくしてからで、時すでに遅し。

　現役を退いた今、外部からしょっちゅう連絡が入る訳ではない。スマホがなくても実際上はあまり困ることもない・・・はずだ。しかし手元から連絡手段を奪われてしまうと、とても寂しくて頼りない気分になるものだ。

　　　　　　　　　　　　　　（2023/08/07）