2023-09-01
1329)そごう・西武のストライキ
振り返ると、若いころ私が身を置いた電機業界では50年前くらいまで、賃上げやボーナスをめぐって、よくストライキを打っていた。その上に業績悪化していた私の会社では人員整理を巡るストライキも加わった。
その頃、電機以外の業界でもストライキは珍しくなかった。私鉄や国鉄等、交通関係でもよくストをうって、利用者としては迷惑を被ったものだ。このブログを書いていて「暁の妥結」という言葉を思い出した。スト突入ぎりぎりの早朝になって、やっと交渉がまとまり、汽車やバスが動き出し、ほっとして出勤していたのを思い出す。
かって我が国では、ストが頻発して労使ともに疲弊した。このため、労使が事前に協議して問題解決を目指す労使協調路線が重視されるようになっていった。結果、日本でのストライキ発生件数は年々急激に減少し、海外に比べても極めて少なくなったという歴史がある。
平和が続くと平和に慣れて、これを維持する努力を怠りがちになるものだ。今回のそごう・西武のストも経営側の説明不足が労組側の不信感を招いたのではないかと報道されている。今朝の読売新聞の大見出しには『売却 説明足りず』とか『労組、経営陣に不信感』という経営側を責める言葉が踊っている。
日本の労働界全体が、ストライキという伝家の宝刀を錆びつかせ、物分かりが良くなり過ぎたがために、本来あるべき経営側の努力不足を招来しているのかもしれない。
(2023/09/01)