折尾駅で電車に乗り込んだ。座席は満席だった。立って、どこかの駅で席が空くのを待っていた。突然目の前の座席の人が立ち上がり「どうぞ」と言って私に席を譲ってくれた。若い女性だった。折角のご好意だし「ありがとうございます」と素直に譲ってもらった。

　昨日も同じように席を譲られた。昨日も若い女性だった。2日連続、似たような状況に遭遇したのである。

　年をとって体力が落ちてくると座りたいという誘惑が強くなる。席を譲ってもらうのは有難いことだし、感謝しなければならない。しかしその反面では、自分が余程に弱々しい老人に見えるのかもしれない、と寂しい気持ちも湧いてくるものである。席を譲ったら、怒り出す年寄りがいると聞いたことがある。譲ってくれた人には悪いけど、なんとなくその気持ちがわからないでもない。

　　　　　　　　　　　　　　（2024/01/30）