2024-02-08
1428)一瞬の出来事
目の悪い人が定期券を落として探していると直感した。「カードが落ちていますよ」と一言声をかけ、しゃがみこみ、カードを拾って腕を差し上げた。人ごみの中から腕が伸びてきてカードを掴んだ。「ありがとうございます。助かりました」という声が聞こえた。年配の男性の声だった。姿も顔も見ていない、一瞬の出来事だった。
一瞬遅れたら人ごみの靴に踏まれ、蹴散らされたカードは行方不明になっていたかもしれない。なにやら晴れ晴れとした気分で会社に着いた。
(2024/02/08)